写真: 高野山 奥之院 万灯供養会(ろうそく祭り)/ Naokijp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
2026年お盆に訪れたい寺社17選 — 灯りで迎え、灯りで送る夏
お盆は、亡くなった方の御霊が家に帰ってくるとされる期間です。迎え火で道を照らして迎え、送り火で見送る——お盆の行事に灯りがつきものなのは、そのためです。8月13日から16日を中心に、全国の寺院では灯籠やろうそくを供える法要が営まれます。
この記事では、2026年のお盆に訪れられる行事を、日付とあわせて北海道から九州まで17か所ご紹介します。地方別に並べていますので、下の目次から気になる地域へ直接お進みください。帰省先や旅先の近くで探すのに使えます。
なお、お盆はもともと仏教の先祖供養の行事で、神社の行事ではありません。神道では死を穢れと捉えるため、神社にお盆の法要はないのです。ただ8月は各地の神社で例大祭が重なる季節でもあり、帰省の道すがら足を運べる祭りが数多くあります。この記事では、寺院の盂蘭盆(うらぼん)の法要と、神社の夏祭りの両方をご案内します。
北海道・東北
平泉と松島、山寺——東北にはお盆の送り火と施餓鬼の行事が受け継がれています。北海道は函館の総鎮守の例大祭が同じ日に重なります。
2.中尊寺(岩手県・平泉)— 8月16日「大文字送り火」
お盆最終日の夜、束稲山(たばしねやま)の稜線に「大」の字が浮かび上がります。筆順どおりに火が灯されていく送り火で、先祖の霊を見送る行事です。京都の五山送り火と同じ発想の行事が、奥州藤原氏の地にも受け継がれてきました。
2日前の8月14日には、かがり火のもとで能が奉納される薪能も。世界遺産の伽藍とあわせて、夏の平泉は夜が本番です。
中尊寺 本堂
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3.瑞巌寺(宮城県・松島)— 8月16日「大施餓鬼会」
伊達政宗が創建した奥州随一の禅刹。お盆には、門前の松島海岸に櫓と棚を設け、供養のための経木塔婆を焚き上げます。約50名の僧侶による読経が、日本三景の海辺に響きます。
8月12日には盂蘭盆会総供養も営まれます。杉並木の参道と洞窟遺跡群を抜けて本堂へ向かう道のりは、行事の日でなくとも一見の価値があります。
瑞巌寺
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4.宝珠山 立石寺(山形県)— 8月6日「夜行念仏講」
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」——芭蕉が詠んだ山寺。8月6日の夕刻、根本中堂での念仏のあと、夜を徹して奥の院まで諸堂を巡拝しながら念仏を唱えます。1015段の石段脇の灯籠にも灯がともり、闇の中に参道が浮かび上がります。
お盆そのものの法要をお求めなら、8月20日の盂蘭盆会施餓鬼法要を。こちらは餓鬼に飲食を施し、先祖の冥福を祈る法要です。
宝珠山 立石寺
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5.函館八幡宮(北海道)— 8月15日「例祭」
函館の総鎮守。文安2年(1445年)、亀田郡の領守が館を築いた際に東南の隅へ八幡神を祀ったのが始まりと伝わります。8月14日から15日にかけて例大祭が行われ、境内には露店が並びます。
隔年で、約1.5トンの神輿を130段余りの石段で担ぎ上げる神事が行われるのが最大の見どころ。大正4年完成の社殿は「大正式八幡造の代表作」とされ、祭りの日でなくとも訪れる価値があります。
函館八幡宮
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関東
鎌倉の観音さまの功徳日とぼんぼり祭、深川の水掛け祭。都心から日帰りで訪ねられる行事が揃います。
7.長谷寺(神奈川県・鎌倉)— 8月10日「四万六千日」
この日に参拝すると四万六千日分(およそ126年分)の功徳が得られるとされる、観音さまの功徳日です。一生分を超える功徳を一日で——という発想が、いかにも民間信仰らしい行事。
鎌倉の海を見下ろす高台にあり、境内の眺望も見どころのひとつ。お盆の帰省前に立ち寄れる立地です。
長谷寺
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8.鶴岡八幡宮(神奈川県・鎌倉)— 8月上旬「ぼんぼり祭」
立秋の前後、鎌倉ゆかりの文化人や著名人が揮毫した数百のぼんぼりが、参道と境内を埋めます。一つひとつに絵や書が描かれており、灯りが入る夕暮れ以降は文字通り「見て歩く」祭りになります。
書いた人の名前を確かめながら進むのが楽しく、毎年新しい作品が加わります。日が落ちてからの参拝がおすすめです。
鶴岡八幡宮
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9.富岡八幡宮(東京都・深川)— 8月中旬「深川八幡祭り」
江戸三大祭のひとつに数えられる例大祭。沿道から神輿に清めの水が浴びせられることから「水掛け祭」の名で親しまれています。担ぎ手も見物客もずぶ濡れになる、夏らしい祭りです。
本祭りは三年に一度で、その年は50基を超える神輿が連なる圧巻の光景に。都心からのアクセスもよく、気軽に足を運べます。
富岡八幡宮
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中部
善光寺のお盆縁日から、三嶋大社の大祭、そして夏の終わりを告げる吉田の火祭りまで。8月の頭から末まで行事が続きます。
11.善光寺(長野県)— 8月10日「お盆縁日」
宗派を問わず誰でも受け入れる寺として、古くから「一生に一度は善光寺参り」と言われてきた古刹。お盆の時期には縁日が立ち、大盆踊り会などで参道一帯が賑わいます。
本堂床下の真っ暗な回廊を手探りで進む「お戒壇めぐり」は、暗闇の中で錠前に触れると御本尊と結縁できるとされる名物。夏の参拝とあわせてどうぞ。
善光寺
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12.三嶋大社(静岡県)— 8月15日から「三嶋大祭り」
伊豆国一宮の例大祭で、静岡県東部では最大級の夏祭り。8月15日から17日にかけて、神輿の渡御、流鏑馬(やぶさめ)、手筒花火などが繰り広げられます。
源頼朝が源氏再興を祈願した社として知られ、流鏑馬はその故事にちなむもの。三島駅から徒歩圏内で、街全体が祭り一色になります。
三嶋大社
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13.北口本宮冨士浅間神社(山梨県)— 8月26日「吉田の火祭り」
日本三奇祭のひとつ。富士山の山じまいを告げる祭りで、8月26日の夜、富士吉田の街道沿いに立てられた大松明が一斉に燃え上がります。
炎の列が街を貫く光景は、灯籠やろうそくの静かな灯りとはまるで違う迫力。お盆を過ぎ、夏の終わりを見送る祭りです。
北口本宮冨士浅間神社
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近畿
お盆の灯りの行事が最も集中する地域です。奈良・京都・高野山の大寺院が、それぞれの形で先祖を迎え、送ります。
15.東大寺(奈良県)— 8月15日「万灯供養会」
盂蘭盆の夜、大仏殿の前庭に無数の灯籠が並び、先祖の霊を供養します。灯りに照らされた大仏殿の景色は、昼間の参拝とはまったく違う表情を見せます。この日は大仏殿の観相窓が開かれ、外から大仏さまのお顔を仰ぐことができるのも見どころ。
なお8月7日には「大仏さま お身拭い」が行われます。白装束の僧侶らが大仏さまの一年の埃を払い清める行事で、お盆を迎える準備にあたります。お盆前に訪れるならこちらも。
東大寺
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16.金剛峯寺(和歌山県)— 8月13日「ろうそく祭り(萬燈供養会)」
高野山の奥之院へ続く参道に、およそ10万本のろうそくが灯される夏の夜の行事です。参道は樹齢数百年の杉並木と歴代の墓碑が続く約2キロの道のりで、その両側が一斉に灯される光景は他に類を見ません。
迎え火にあたる8月13日の夜に行われます。日が落ちてからが本番なので、宿坊に泊まってゆっくり歩くのがおすすめです。
金剛峯寺
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17.東本願寺(京都府)— 8月14日から「東大谷万灯会」
東本願寺の墓所である大谷祖廟(東大谷)で営まれる、京都の夏の風物詩です。参道と境内におよそ1万個の提灯が吊るされ、灯りの下を大勢の参拝者が墓参りに訪れます。
東山の中腹に位置するため、灯りの向こうに京都の街並みを見下ろせるのもこの行事ならでは。お盆の数日間だけの景色です。
東本願寺
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中国・四国
神仏習合の姿を残す稲荷、先祖の御霊を灯籠に託す神社、土佐の夏を締めくくる大祭。性格の異なる三つが並びます。
19.最上稲荷山妙教寺(岡山県)— 8月13日から「盂蘭盆会」
日本三大稲荷のひとつに数えられる、神仏習合の姿を今に残す寺院。明治の神仏分離を経てなお鳥居と仁王門が並び立つ、全国的にも珍しい景観で知られます。
お盆の三日間は、檀信徒の御霊を迎えての追善供養が営まれます。高さ27.5メートルの大鳥居をくぐって参道へ——寺でありながら神社のような入口を持つ不思議さも、この場所ならではです。
最上稲荷山妙教寺
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20.田村神社(香川県・高松)— 8月9日・10日「燈籠祭」
讃岐国一宮の末社・宮島社の例祭。先祖の御霊慰めに始まり、子孫繁栄や家内安全といった祈願を灯籠に託して灯す「夏の涼祭」です。
神社にお盆の法要はありませんが、この時期に先祖を思い、灯りを供える心はここにも息づいています。仏教の盂蘭盆会とは異なる形で、同じ季節の祈りがある——そのことがよく分かる祭りです。
田村神社
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21.土佐神社(高知県)— 8月24日から「しなね祭」
土佐国一宮の例大祭で、土佐三大祭のひとつ。神輿の渡御を中心に、境内一帯が露店と参拝者で埋まります。「しなね」の名は古語に由来するとされ、土佐の夏を締めくくる祭りとして親しまれてきました。
本殿は入母屋造の社殿が特徴的で、国の重要文化財に指定されています。祭りの日でなくとも訪れる価値のある社です。
土佐一ノ宮 土佐神社
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九州
九州でお盆の法要を公開している著名な社寺は限られますが、真夏の夜の神事があります。
23.阿蘇神社(熊本県)— 8月6日「柄漏流神事(ネムリナガシ)」
肥後国一宮。田歌(稲作の作業歌)を謡い納める神事で、氏子およそ100人が夜間に田歌を謡いながら街中を練り歩きます。真夏の夜に睡魔を流す意味があるとされ、「ネムリナガシ」の通称もそこから来ています。
2016年の熊本地震で倒壊した楼門は、7年をかけて復旧しました。夏の夜の田歌は、この地の暮らしと祈りが続いてきたことを伝えています。
阿蘇神社
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お盆の行事は、どこも夕方から夜にかけてが本番です。日中の暑さが引いた頃に出かけて、灯りが入る時間に合わせて着くのがちょうどよいでしょう。
混雑する行事も多いので、公共交通機関でのアクセスや、周辺の宿の確保は早めに。各寺社の詳細ページから、御祭神・御本尊、参拝作法、アクセスをご確認いただけます。
※行事の日程・内容は年によって変更されることがあります。お出かけ前に各寺社の公式情報をご確認ください。